【27回目】RS ウイルス母子免疫ワクチンとは?
RS ウイルス母子免疫ワクチンとは、妊婦に接種するワクチンです。母体の RS ウイルスに対する中和抗体価を高め、胎盤を通じて母体から胎児へ 中和抗体が移行することで、乳児における RS ウイルスを原因とるす下気道疾患を予防します。妊娠 24~36 週の妊婦に1回0.5mL 筋肉注射します。28 週以降がより効果が高いと報告があります。
RS ウイルスは世界中に広く分布しており、生後1歳までに 50%が、2歳までにほぼ 100%が RS ウイルスに感染します。乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の 50~90%が RS ウイルス感染症によるとされてい ます。症状は感冒様症状から下気道感染に至るまで様々ですが、特に生後 6か月未満で感染すると重症化することが示されています。また、合併症 として、無呼吸、急性脳症などがあり、後遺症として反復喘鳴(気管支喘息)があります。RS ウイルス感 染症と診断された2歳未満の乳幼児の約 4 分の1で入院が必要と推定されているものの、特効薬はありま せん。重度の RS ウイルス関連下気道感染症に対して、生後 90 日で 81.1%、180 日で 69.4%の有効性 が認められています。特に生後1~2か月の感染は入院率が高いので、妊婦のワクチン接種は、生まれてく る子への贈り物となることでしょう。
薬剤師 中野洋子
商品名:アブリスボ筋注用 | 費用 30000~38000 円 妊娠 24~36 週で1回接種 |
参考文献:RS ウイルス母子免疫ワクチンに関する考え方 日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会